動物園にできること―「種の方舟」のゆくえ

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主にアメリカの動物園について、取材したフィールドレポート。飼育方法などについてではなく、その根源にある思想や哲学を探っています。 エンリッチメントやランドスケープ・イマージョンといった動物園の新しい考えや展示手法について鋭く迫っています。

飼育動物の幸せとは?

動物園にできること表紙

動物園にできること―「種の方舟」のゆくえ

  • 著作:川端 裕人
  • 価格: ¥ 690 (税込)
  • 文庫: 346ページ
  • 出版社: 文藝春秋 (2006/3/10)
  • ISBN-10: 4167662035
  • ISBN-13: 978-4167662035

動物園にできることのご紹介

 日本の10年先を行くといわれているアメリカ。国内の動物園より進んでいるとされるアメリカの動物園事情をは、たくさんの関係者へのインタビューやその思想がわかりやすくまとめられた作品です。動物の飼育に興味がなくとも、ヒトの暮らしに置き換えたりすることで示唆に富んだ作品として読むことができると思います。

「動物は好きだし、そのきっかけはきっと動物園。だけど、動物園になにか違和感を覚える」という著者の葛藤はそのままアメリカの動物園の欺瞞になっていることが作品中で浮き彫りになります。しかし、動物園はその存在価値にそんな欺瞞を内包しながらも、飼育動物のためにも、そしてお客様のためにも、飼育者のためにも、さらには経済的にも理想的な動物園を目指さなければなりません。

どんなものが理想の動物園なのか手探りで見つけようと様々な努力をしている人たちの思想は、動物園だけに限らず、子供の教育現場や家庭、職場でも参考になることが多いと思います。

扱っているテーマは

  • 野生から切り離された動物は幸せか?(エンリッチメントについて)
  • 新しい展示方法の問題点(ランドスケープ・イマージョン)
  • 動物園での種保存の問題点
  • 野生復帰の問題点

などタイトルの「動物園でできること」というよりは「動物園でできないこと」のほうに重きが置かれているように思います。 本の初版は1999年なので現在の状況は違うのかもしれませんが、2006年に出版された文庫版には、国内の動物園についての「文庫版のための新章」が加筆されているので文庫版をおすすめします。

作品とは関係ありませんが、私的な干支リニューアル案

作品とは関係ありませんが、先日、娘の遊び用に動物カードを作りました。

猫はニャー、犬はワンとかの画一的な教え方も気になりますが、ゾウ、キリン、カバとか、国内で普通に生活したら絶対に遭遇しない動物が子供の教材にはあたりまえのようにたくさん登場してきます。目立つタレント的な動物もいいのですが、日本にいる動物に目を向けてもらうほうが楽しいと思います。それに、タレント動物に逢うためには、外国に行くか、動物園で檻越しに眺めるしかありません。 というわけで、できれば、本来は、親子で
「首の長いのはど〜れ?」
と楽しむ動物のカードにミミズやらハトやらカラス、クモ、カエル、ノミなんかも混ぜてみました。 きっと娘はミミズとキリンを比べてどちらが首が長いのか悩むことでしょう。

これらの動物なら、直接見せるのにそれほど苦労はかかりません。だいたい、トラなんて日本に生息していないくせに、十二支に入るなんてでしゃばりな奴!(十二支は中国由来だし、辰にいたっては実在が怪しいけど・・・)

もうすこし、教育で扱われるな動物の種類についても、地域性をだしてもいいのかもしれないなー。などと考え、私案ですが日本版十二支を考えてみました。

  • 子 保留 見つけにくいけど、かなりいます。
  • 丑 保留 乳も肉も皮もお世話になっています
  • 寅→ ネコ科っていうことで代役!
  • 卯 保留 少なくなってきましたが、雪上では足跡が見つけられます
  • 辰→ 両生類も登場させましょう!
  • 巳 保留 唯一の爬虫類なのではずせません
  • 午 保留 野生はいませんが、以外に目にする!?
  • 未→ 昆虫も登場! ウールよりも絹のほうが日本にはお馴染み
  • 申 保留 人里にも登場
  • 酉 保留 いただいています
  • 戌 保留 長い付き合いですから・・・
  • 亥→ 豚肉のほうがお世話になっていますから!

次点

  • 鹿
  • 烏(カラス)

お粗末さまでした。

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コメント(1)

もう半年前の記事ですが、このページを見て本屋さんに置いてあったので買いました☆先週旭山動物園に行って楽しんだし、いちよ今日も上野動物園に行ったし。おもしろそうだなぁと期待していますが、とりあえず今読んでる養老孟司さんを読み終えてから・・・。
私も動物カルタのことはそう思ってました。ゾウとかキリンとか。

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このブログ記事について

このページは、新宿の働かない社長が2007年3月13日 00:32に書いたブログ記事です。

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